gooワンビリング終了のお知らせ−家計簿電子化の受難続く

PCで家計管理をする数少ない日本人にまた受難のお知らせ。

http://billing.goo.ne.jp/mente/close.html

この度、お客様にご利用いただいておりますgooワンビリングにつきまして、誠に勝手ながら2012年6月30日をもちまして、サービスを終了させていただくことになりました。

これまでもMicrosoft Moneyのサポート終了と、それに伴う金融機関側のマネー形式のダウンロードサービス終了とかで、データをダウンロードする道筋をちょくちょく変更しないといけなかった。

Microsoft Money サポート終了とその後 - cafe@永福

それでも、これまではいくつか移行先のサービスが存在したんだけど、今回はより厳しい選択肢になりそう。

gooワンビリングの後継サービスとされている「OCN家計簿」というサービスでは、これまで利用していたマスターマネー形式のダウンロードができない。

なので、これまでやっていた

という流れでの家計管理ができなくなってしまう。

もともとgooワンビリング以外に、マスターマネー形式でダウンロードできるサイトは、たぶんジャパンネット銀行くらいしかない気がする(詳細不明)。そもそもMicrosoft Money形式で明細を提供するサービスはすでにない。今までと同じように家計管理するには、ジャパンネット銀行に口座を開く必要があるということなのか・・・。

いずれにせよ、険しい道のりになりそう。



ネットでの家計管理や資産管理については、日本ではこの10年以上、キャズムのずっと手前で足踏みしたまま進んでいない。主流になるだろうと思ったサービスが次々に終了するので、そのたびに新しいサービスとデータ変換のツールを求めて流浪の旅を余儀なくされている状況。

こんなことになっている背景は、主に二つあると思われ、

  • PCにデータを個別にダウンロードせず、管理をネット完結(クラウド)させる
  • そもそも日本でのネットでの家計管理需要がすごく少ない

前者については、MS Moneyの終了のその一つだろうし、わざわざ家計管理のためにソフトを購入することが時代遅れになっているという面はある。ただ、日本でこれだけ盛り上がらないのは、やはり後者の要因が大きいと思う。

そもそも、アメリカで家計管理や資産管理サービスが充実したのは、確定申告用途というのが大きいが、日本では確定申告が不要な世帯が大半なので、正確な収支の管理や資産管理が必要ない。一方で、レシートや通帳をベースにした紙の家計簿管理はとても普及している。

昨年仕事でこの関係の部分のインタビューとかをやったけど「家計簿は紙」という考え方は、いまだに根強い支持を得ている。たしかに、現金の出入りはレシートを見ないと確認できず、それを集計して記入するにしても、わざわざパソコンを開いて入力するより、紙の家計簿にさらっと書けるほうがよい。そもそも、家計の管理主体の大半を占める女性は忙しいし、パソコンが好きな人は少ない。同じ理由でインターネットでの銀行サービスがいくら充実しても、紙の通帳に対する需要は根強い。

そういういくつかの要因が重なり合って、日本ではネットでの(というかPCを使った)家計管理が盛り上がらない。当然ながら、アグリゲーションサービスも提供してもユーザーが増えない。
ただし、銀行の中にいる人から見ると、アカウントアグリゲーションというのは、時折魅力的なサービスに思える。自分の所にログインしてもらうだけで、他行の残高も取引も一元管理できる。自行へのログインは増え、他行にはログインする必要すらなくなるので、ロイヤルティもあがるはず・・・。なので、アグリゲーションサービスの大半が、始まっては終了、というサイクルを繰り返している。

日本でこの手のサービスがキャズムを超えるのは難しいだろうなと思うものの、インフラとしての環境は格段に充実している。金融機関に限らず公共料金や事業会社も明細の電子化を進めているし、電子マネーの利用も世界一進んでいる。あとは現金の利用部分のみ。この最後の壁を乗り越えられるかどうか。

  • レシートからの入力を簡単にする
  • 女性をメインターゲットに据える
  • パソコンを介さない

Zaimとかスマホアプリでもいくつか出ているけど、この領域が大化けする日が来るのか、来ないのか・・・。Microsoft Moneyでの家計管理をやめてもいいと思えるWebサービスにも早くめぐり合いたいなあ。