service scienceだと

「サービスサイエンス」はIBMと米国の未来を担うかも:インフラコモンズ今泉の多方面ブログ:オルタナティブ・ブログ

と言う記事を見つけた。(今更) なんと!そんな話がすでに始まってたなんて。

製造業だけではなくサービス業にもイノベーションが必要。でイノベーションをどうやって実現するかについて科学的な(システマチックな)アプローチが必要。(コンピュータサイエンスみたいな)。確かに。

今までのビジネスの進め方を巡る学問やノウハウの体系には、前提としてモノを取り扱う(作ったり、運んだり、売ったり、宣伝したりする)商売を対象にしている一面があったように思える。

例えばシステムインテグレーションのようなサービスの場合、研究開発も生産も在庫も販売もMBAの教科書に載っている内容は直接はあてはまらない。教科書に載っている「生産管理」や「在庫管理」「マーケティング」なんかを無理に当てはめても限界がある。

サービスを商売の種としている企業がいかにすれば「より質の高い」「より効率的な」サービスで利益を上げることができるか(サービス産業におけるイノベーション)という点を、これまでのような直感とひらめきだけでなく、より高い確率で実現するためのアプローチと認識した。これはいい。しかもこれから始まる学問らしい。

ちなみに、一橋大学院の藤川佳則氏によると、サービス産業の特徴(製造業の違い)として下記のものがある、とのこと。

・サービスの性質(モノとの違い4つ)

  • Simultaneous同時性(生産(production)と消費(consumption)が同時に起こる)

フロントライン従業員をいかにマネージするか、顧客をいかにマネージするか)

  • Perishable消滅性(蓄えておくことができない)

いかに供給を管理するか、いかに需要を管理するか)

  • Intangible無形性(見えない、触れない)

サービス・コンセプトをいかに知覚化するか、サービス・クオリティをいかに管理するか)

  • Heterogeneous変動性(誰が、誰に、いつ、どこで提供するかに左右される)

いかにサービス提供プロセスを管理するか、いかにサービス提供スキルを強化するか)

※1.上記の4つには乗っていないが、モノとの違いの一つに、「人が中心となって提供される」という点があるかと思うが、これは重要ではないのだろうか。


こういうアプローチが産まれ、企業が研究に取りみはじめている根底には、「コモディティ化」、それも「サービスのコモディティ化」の危機感があるのかな、と思う。2年前位からお客様と接しているとき(特に提案するときとか)にぼんやりと「もしかして自分がやってる仕事って、すでにコモディティの魔の手が忍び寄ってるのでは」と感じたりしていたけど、実際結構深刻な問題になりつつありそう。

製造業では人々の想像を超える勢いでコモディティ化が進んでいる。理由は「フラット化する世界(上)」にくどいほど書かれてある通りで、いくつかの条件が重なって新興国が「世界の工場」としてフル稼働できるようになったから。この流れは止まることはない。日経の産業面を読んで「予想を上回る価格下落の勢いに対するため(もしくは対抗できず)・・・」というくだりを見ない日はない。

いまさら気づいたけど、中国の製造業(もしくは中国に進出したグローバル企業)って「イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press)」でいうところの「破壊的イノベーション」そのものだったのだ。

既存のプレイヤーが実現できていない破壊的な優位点(安い労働力)を武器にして、最も品質や技術の要求レベルが低い(利益率も低い)分野(ブラウン管テレビなど)から参入をはじめる。そこで足場を固めて、徐々により品質の高い分野(液晶テレビの組み立てなど)にステップアップしていく。相変わらず最もハイエンドの分野(最新世代のパネルなど)は既存プレイヤーのみの市場だが、技術革新がある程度までいくと、ハイエンドの下のレベルでもユーザーの要求を満たせるようになってしまい(技術が需要を追い越す)、気がつくと既存プレイヤーの高コスト体質で採算があう分野は縮小して、メジャーな分野は破壊的な優位点を持つ新規参入企業のものとなる。

で、「サービス産業には中国来ないし、そもそも「破壊的イノベーション」って製造業中心だし僕らサービス産業の人間は安心だよね」と思っていたんだけど、どうもそうでもないらしいという気がしてきた。そこで二つの仮説

■仮説1:サービス事業にもコモディティ化の波は押し寄せる

■仮説2:サービス事業のコモディティ化に対抗する体系立った方法が必ずある