フラット化する世界


フラット化する世界(下)

フラット化する世界(下)


今更ながら、ようやくすべて読み終わった。後半はかなりペースダウンしてしまった。

上巻:

  • テクノロジーの進展がもたらす数々の参入障壁の崩壊(=世界のフラット化)
  • 10のフラット化要素

下巻:

  • 世界のフラット化にアメリカ(ホワイトカラー)はどう対応すればよいか
  • フラット化の影響が及ばない人(地域)とフラット化の悪用にどう対処するか

無茶苦茶端折るとこういう内容。
とにかく話の展開とかまとめ方が秀逸。位置づけとしては梅田さんの本ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)で指摘された日本のミドルクラス(いわゆるエスタブリッシュメント)への警鐘と同じメッセージ。というかフリードマンのこの本の日本展開として(そしてさらにテクノロジーのエッジ部分に着目したものとして)梅田さんの本が位置づけられるのかな?ただし、この本は梅田さんのそれよりもグッと素人のレベルで山のような具体例を交えて書かれている。それだけに、グッと引き込まれてしまう。思わず自分もインドに視察に行きたくなる。


で、この本のキーメッセージは当然前半〜中盤の部分かと思う。

  • 圧倒的な数とスピードを持った新規参入業者がインドや中国から流入する
  • それを可能にした世の中の動きとか技術進展とかを10の要素としてピックアップ(一番大きいのはブロードバンド)
  • 10の要素が束になって世界中の人々に行き渡ったことで(特にインド、中国とアメリカがブロードバンドと言う高速道路で結ばれたことで)、今まで障壁の高かった分野にどっと新規参入業者がおしよせている
  • これらの動きによってアメリカ(のミドルクラス)へどんな影響があるか(撤退が必要な部分、優位を保てる部分)

ただ著者は外交ジャーナリストだけあって、それだけでは物足りず、下巻のしかも後半にかなりの情熱が込められていて読んでいてかなり熱くなった。

  • 残念ながらフラット化のパワーは世界の半分しか行き渡らない
  • 残り半分は、アフリカとイスラム
  • アフリカはまず健康に生活するという目標を達成する必要があるし、イスラム圏(特にオイルマネーの入る地域)には、前向きなモチベーションを発揮できていない
  • フラット化の恩恵は正のイマジネーションだけでなく、テロなど負のイノベーションにも同じだけ力を貸してしまう
  • ただし、きっとうまく行くんだと言う楽天的な発想こそが大事なのだ(<=シチュエーションは違うが、この主張は梅田さんと一致していて興味深い)

個人的には、間違いなく「この10年で大切な10冊」の上位にランクイン。