父親の7つの行動―お父さん、今こそあなたの出番です

父親の7つの行動―お父さん、今こそあなたの出番です

父親の7つの行動―お父さん、今こそあなたの出番です

昨日に続いて、自己啓発系の本。こちらは子育て編。同じような時期に人から進められて(こちらは奥様から)、奇しくも似通った主張だったので面白かった。

が、この著者かなりの食わせ物らしい。催眠療法とか右脳なんたらとかの本を一杯出している。はじめこの著者のことを知らずに読んでいて、あまりに根拠のない断定的なものいいに拒絶反応があった。けど、途中で著者の背景を知った後にそういう前提で読んでみると、意外にまともな面もあった。80に近いという年齢を感じさせない部分はある。が、この内容でお金を取ってよいのだろうか、という思いは最後まで消えなかった。

7つの・・・とかかれているが、基本的に7つの間に整合性はあまりない。きっと公演か何かの原稿をちゃちゃっと取りまとめて書いたのだろうと思う。特に前半は儒教的な教えと戦後教育を美化する内容に終止している上、内容が浅くうわべだけをなでている。ところどころ引用される具体例や体験談も単なる我田引水でしかない。頑固な爺さんに説教されてるみたいで、ちょっとひどい。

子育てってのは本当に大変だ。自分でさえも一人前かどうか不確かな親が、一人の人間を育てていく。これって考えただけでも数々の困難が予想される。親と言うのは、その困難にぶつかってでも、それを何とか乗り越えて、一人前の人間として世に送り出してやろう、という強い意志が求められる役割だと思う。なので、私は子育てって言うのは基本的にかなりチャレンジングなことなのだ、と思っている。普通にやっていてもうまくいかないケースの方が多いんじゃないのか、と。だから何とか知恵を絞ってうまく行くやり方を見つけないといけない。

その部分の基本的な認識が違っている人の話を聞くと、とても違和感と言うか反発を覚える。子育てって言うのは、さも簡単で当たり前のことであるとか、その当たり前のことを君はどうしてできないの?みたいなスタンスの話は、例え話の中身が真っ当であったとしても、共感することができない。まさにこの本がそうだった。


が、7章の「子供に夢を与える」という部分だけは共感して読めた。この章だけは「子育って大変なんだよ」というトーンで書かれている気がした。高圧的な印象が薄くて例示も具体的。なるほどこういうやり方があるのか。工夫してるなあ、と素直に参考になった。「反発は反発を生む」というあたり、昨日の「箱」の話とかなり近い部分がある。国も書かれた時期も違うが、生きていく上で大切な考え方と言うのは、共通する部分が多いと言うことだろうか。
なにしろ7章はとてもよかった。この手の本のご多分に漏れず、最後に「右脳教育の素晴らしさ」が書かれているのが玉に傷だったが。

著者はトンデモな人らしいが、章によってはまともな部分もあるな、という印象。基本姿勢としては共感できる部分もあったので、もっと丁寧に書いてくれればよかったのに、と残念に思った。