自分の小さな「箱」から脱出する方法


自分の小さな「箱」から脱出する方法

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • 作者: アービンジャーインスティチュート,金森重樹,冨永星
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2006/10/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人に進められて読んでみた。1時間ほどで読める。全米ベストセラー本らしい。が、日本ではなぜか一時期絶版になって、最近また再販された。なんか意味深。

内容としては、人間関係に関する自己啓発本で、「人を責めるというのは自分が防衛本能を働かせている証拠。そこからは何も生まれないから、まずは自分が相手に力を貸すことから始めなさい」というもので、主張自体特に目新しいことはない。特に日本人にとっては、いまいちピンと来ないところも。

が、この本の目新しいところは、

  • それを会社のマネジメントに対して「人の上に立つ者こそ実践すべし」と説いていること
  • 日本人ではなく、アメリカ人が「自己犠牲」的なことを勧めていること
  • イラストがかわいくてよいこと

しかし、一般論として自分を含めた日本人は、自分自身の思いよりも他人から自分をどう見られているかを気にする傾向が強いように思う。なので、今更「自己犠牲を」と言われても、ちょっとピンと来なかった。そりゃ重々わかっているけど、できないから困ってるのよ、という感じ。

岩波新書の「日本的自我」という本を読んだことを思い出した。

日本的自我 (岩波新書 黄版 241)

日本的自我 (岩波新書 黄版 241)


もちろん、自分もこの本に書かれている状況によく陥っているし、普段の会社の中でも言われてみるとこんな状況ばかりな気もする。が、箱の「中」と「外」の二分で考えるのは、アメリカンで簡潔な認識方法だと思ったけど、ちょっと無理がある気がした。箱の中=悪と言う図式はわかりやすいけど、自分からわかっていて箱の中に入る道を選ぶこともあるだろうし、組織ごと箱の中に入ってしまう必要に駆られることもあるよね、というのが正直な実感。
そこを正そうよ、というのがこの本の主張なんだけど・・・。

箱を作ってしまう例として頻繁に家族の関係(妻や子供と自分の関係)が取り上げられていて、企業のマネジメント層は家族関係に何らかの障害を抱えていることが暗黙の了解みたいになっている。日本だけかと思っていたけどアメリカでもそうなのだろうか。Work-Life Balanceってアメリカ発と聞いてはいたけど、どこも似たような状況なんだ。

あと、終わりの方で「この続きは一週間後に」とか「読んで欲しい教材がある」とか言うくだりが、うさんくさすぎ。夏ごろにさんざん叩かれていた「鏡の法則」に通じる匂いを感じてしまった。この時期に再販されたと言うのも、二匹目のどじょう狙い?と、余計な想像を生んでしまう。違うと信じたい。