アキバの5年後

このシリーズが面白い。

「自作PCの未来は、明るい」 (1/2) - ITmedia PC USER

前回の記事(「自作PCに未来はない」 (1/3) - ITmedia PC USER)で、ショップ店長が極めてネガティブに将来を予測していたのに対して、今回は逆に極めてポジティブな色を出している。

「同じ事実を見て、この先がどうなるかの予測が違う。どちらが正しいということもわからない」ということは、学校では教えてもらえないけど、この世にあふれかえっていると思うし、それこそが人生を面白くするための原動力でもあるように思う。いわゆる『経営の勘』と呼ばれる世界。

コンサルタントとかは、この領域になると一気に及び腰になる。そこは「蓋然性(起こる可能性の高低)」で判断するのです、とかいう。
が、「勘」の領域は企業経営で決して排除できない部分だと思う。特にアキバのショップの場合はそれが顕著だと思う。

PC関連製品の市場のように、完全に水平分業が進んでコモディティ化しつくした市場なんて、誰も未だかつて経験していないに等しいから、蓋然性なんて計る術もなく、まさに「今後どうなるのか誰にもわからない」状態だし、どのショップも家族経営に毛が生えた程度の規模で、機敏さをよりどころとした会社といえる。「将来の読み」を誤れば即沈没。という状態だけに「今後どうなるのか」という勘の占めるポーションというのはすごく大きいように思う。

市場経済も元々は将来予測の多様性がすべての根源になっているように思う。多様な将来の読みがあるから、取引市場が発達するし、競争が巻き起こるし、イノベーションも起こる。

アキバという狭い空間でいろんなプレイヤーが知恵を絞って売りさばく様は、ドラマとしてみても非常に面白い。
さらに、そこで扱われる製品が、コモディティ化の見本市のようなPC関連製品であるという点で、クリステンセン教授もまだ見ぬ次元の競争原理が出現しそうで余計に興味深い。