融資の世界のブレークスルー

Web2.0的な金融のビジネスってのは、なるほどこんなものの事を言うのか、という例。

http://wiredvision.jp/news/200705/2007053023.html

既存のプレイヤがいかにして今のネットの潮流に乗るか、という観点でWeb2.0と金融ビジネスのマッチングを考えていたけど、やっぱりそうじゃないのかも、というのは一つの気づき。

確かに新しい仕組みや考え方を持ち込む場合、守るものがない新規参入者の方が有利。既存のプレイヤはすでにある程度のシェアを持ってしまっている。何も起きなければそのシェアを維持できる可能性があるから、伸びるかどうかわからない分野に参入するリスクを嫌う。

特にこの例のように、信用調査や格付けを外部機関に投げてしまった場合、既存の金融機関が持つ「与信能力(目利き能力)」というのはまったく不要になってしまう。金融機能全般がコモディティ化していく中で、既存の金融機関の唯一の付加価値となりうるのは、この与信能力だと思うので、それを放棄するビジネスモデルは既存プレイヤはとりえない。

一方で、こういうモデルが浸透する層というのは、案外限られていてメジャーな市場にはなりえないだろう、とも思う。あくまでニッチを狙ったサービスだろうし、少なくともそれなりの規模の会社の事業融資には向きそうにない。なので、例えばこのサービスが日本で展開されたとしても、既存の銀行やカード会社は大して反応もしないだろうし、脅威にも感じないのかもしれない。(SBIあたりが始めると面白いが)

Prosper社の共同設立者で最高技術責任者(CTO)のJohn Witchel氏は、

「われわれは、旧態依然とした業界にWeb 2.0の新発想を持ち込んでいる」と話す。

「旧来の金融市場は、情報へのアクセスが制限され、一握りのエリートが展開を決定する家父長的な(押しつけがましい)システムだが、Prosperは投資したい人すべてに開かれている」

思うに、この会社が狙っている方向は間違いなく正しい。この考え方の先に、既存のプレイヤが身震いするほどの大変化が起こるかも、という気(というか期待)がする