ANA、年内に紙の航空券を廃止、FeliCa&QRコードに全面移行


ANA、年内に紙の航空券を廃止、FeliCa&QRコードに全面移行 - ITmedia NEWS

これはすごい。

9月4日から愛媛県松山空港にて移行トライアルが始まり、10月以降、国内線全空港に順次拡大する模様だ。

ANA利用者のFelica普及率がどれほどなのか気になるけど、利用率が10-20%しかないサービスに強制的に片寄せするという強引さと、トライアルとして松山空港という地方のローカル空港を選んだというのがすごい。

航空業界に限らず、新旧のサービスの並行と切替というのは、結構難しい判断になる。何か新しいサービスの方式が登場する。

  1. 並行方式:新しい方式に変えればそれなりにいいこともある。だけど今までの方式も引き続き使えます。
  2. 切替方式:新しい方式に変えればそれなりにいいこともある。だから全員新方式に切替なさい。

コンサバティブな業界ほど「まずは・・・」ということで、並行方式を採用する。が、並行方式で両方がそれなりのボリュームになってくると二つの方式を維持する分だけ余計にコストがかかる。なので新方式のみに切替たいと思うが、旧方式の利用者はかなり長い期間をかけないとゼロにはならないし、方式変更に伴う混乱でブランドイメージが傷つくのを恐れるのでなかなか切替できない。「まずは・・・」のつもりが、「いつまでも・・・」になってしまいがち。

銀行で言うと通帳をなくして、カードとステートメント(もしくはWebでの照会)にしよう、という動きがこれに似ている。10年ほど前から動いてはいるが、なかなか通帳というのをなくせない。二つの方式が並行することによるコスト負担というのはかなりの額に及ぶんだけど、「カードを持たない法人はどうするんだ」とか、「カードが苦手なお年寄りはどうするんだ」とか、挙げればきりがないほどの行内の反対意見の前に、未だに並行方式を続けている。

金融と航空というどちらもインフラの業種ながら、スピード感と身軽さは随分変わってきたな、と思う。

今回の場合、一応カードもケイタイも持ってない人用に紙のQRコードでの代替手段を用意しているとはいえ、今までとは手順が随分変わるということである程度の期間は混乱もあるだろう。しかも地方なので真理的な受け入れ余地とかも微妙な部分がありそう。

そういう懸念があるにせよ、ここまで思い切って「古いサービスを切る」というのは、勇気が要っただろう。壮大な実験に帰するかもしれないけど、その勇気には見習いたい。