ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
聴きに行ってきた。横浜まで。
http://www.japanarts.co.jp/html/2007/orchestra/Kammerphil/index.htm
すげー。こんな演奏会はじめて。
という感じ。きっとホールがいいせいもあるんだろう。B席で3階の席だったんだけど、身の毛がよだつほどすばらしかった。
ベートーヴェンのシンフォニー2曲。4番と7番。なんとあのカルロスクライバーがバイエルンと一緒にやったライブの曲目と同じ。ちょっとやそっとのことじゃ驚かんと思っていたのに。
なんというか、室内楽みたい。真ん中の弦楽器4つが互いに会話しあうかのようにコミュニケーションしている。いや、会話というより一触即発の挑発合戦という感じ。切れば鮮血が飛び散るようなドライブ感でベートーヴェンを突っ走っていく。コンマスのアクションがめちゃくちゃ大きくて、はじめ「アインザッツか?」と思ったんだけど、そうじゃない。トップサイドの人も、2プルの人もみんなアクションがでかい。弦楽カルテットの4人の緊張感を、そのままオーケストラ全体に広げて維持している感じ。これはすごい。例えば、弦のトゥッティーの頭の音とかで、コントラバスのアタックが一番強調されていたりする。演奏者同士で競い合ってるという感じか。
そして早い。かなり早い。4番の4楽章なんて木管楽器の早吹き大会かと思うほどのスピード。あと、テンポが結構自由に変わる。一歩間違えば際物演奏会になりそうなんだけど、アンサンブルの見事さでぎりぎり一歩常識の世界に踏みとどまっている。なんかクラシックの演奏会というより一種のスポーツを見ているような錯覚にも囚われる。
あと、ティンパニ。音でかい。元気のいいオーケストラの切り込み隊長として存在感抜群だった。実はこの指揮者、指揮のほかに打楽器をやっていたらしく、そのポリシーからきているんだろう。え、こんなところにティンパニの連打があったとは!!という驚きに満ち溢れている。
ティンパニに限らず、みんな音がでかい。ベートーヴェンのシンフォニーなのに第1ヴァイオリンが8人しかいない、というとても小さな編成のオケ。だけど、その迫力はホール中を圧倒していた。去年はシンフォニーチクルスをやったらしいけど、3番とかもこの編成でやったのだろうか。弦のボリュームのおかげで、ホルンがしんどそうでかわいそうだった。
で、7番。なんと、すべての楽章が休みなしのアタッカ。なんて人だ。素晴らしい出来栄えの1,2楽章が終わって、「さあ、4楽章はどんだけぶっ飛ばしてくれるんだろう」と思っていたら、思いのほか穏やか。
帰ってきて調べてみると、なんと本人の楽曲解説がWebに出ていて(太っ腹)、謎が解けた。
ベートーヴェン交響曲第2、第4、第7のプログラム解説。パーヴォ・ヤルヴィ自身の言葉による解説をまじえて・・
子どもの頃は、第4楽章を馬のレースのようなものだと誤解していました。馬を速く追い立てるような指揮真似!をしては喜んでいたものでした。でもあれは、Reel(スコットランド高地地方の軽快な舞踏曲)のリズムではないでしょうか。
が、最後はディオニソスの祭典のような狂喜乱舞を見せてくれて、そのまま拍手と歓声の渦が巻き起こった。7番全体をダンスの曲と捉えているところは、クライバーとかと通じるものがあるけど、その表現方法とアプローチがまったく違う。
こりゃすごいものを見てしまった。クライバーやグールドに生で立ち会った人はうらやましいな、と今まで思っていたけど、それに負けず劣らずすごい天才を間近で見れたのかもしれない。
- アーティスト: ヤルヴィ(パーヴォ),ベートーヴェン,ドイツ・カンマーフィルハーモニー・ブレーメン
- 出版社/メーカー: BMG JAPAN
- 発売日: 2006/05/17
- メディア: CD
- クリック: 3回
- この商品を含むブログ (11件) を見る