ネットバンクの手数料戦略

ネット専業のイーバンクがATM手数料の体系を見直して物議をかもしている模様。

ATM利用手数料変更のお知らせ | お知らせ | 楽天銀行

そういえば新生銀行からも振り込み手数料変更のお知らせが来ていた。(こちらは7月に発表して11月から適用というものだったけど)

http://www.shinseibank.com/news/news070727_ft.html

どちらも手数料実質無料という差別化戦略で顧客を獲得してきた銀行が同じようなタイミングで見直しを図っているというのは興味深い。

新規顧客の伸びが鈍ってきたのでそろそろ巡航モードに入るよ、というメッセージなのか、やっぱりリテール顧客からも取れるものは取らなきゃ収益的に厳しかったな、という諦めなのか。

特にイーバンクの場合、普通のカード保有者は月に2回ATMを使う時点で手数料かかっちゃうので痛い。無料取引を失った時点でネット専業銀行の優位性はほとんど見出せない気がする。金利も普通だし、当初の優位性だった24時間取引とかのネット特有の優位性はすでに既存の銀行も追いついてきている。

ネット専業銀行が発足したころに、「融資も資産運用取引も手がけないトランザクション特化型銀行などなりたたない」とたかを括っていた既存銀行の人々の高笑いが聞こえてきそうだ。

新生銀行の場合は、今後も残高ゼロの顧客であっても月3回までは振り込み手数料無料なので、実質的な影響はほとんどなさそうだけど、こういう形で今までのルールは簡単に変わってしまうのだ、という点で驚きだった。

自分が魅力に感じた特徴が、突然なくなってしまうリスクを考慮する必要があるということだろう。そうなった時点で別の銀行に乗り換えればいいだけなんだけど、案外それが面倒くさい。

公共料金の口座振替をしていたり、給与振込み先だったり、その他自分がすでに忘れてしまったような契約の支払い口座になっていたりで、メインで使う銀行口座を別の銀行に変える、というスイッチングコストは意外に高い。

携帯のMNPのように、自分の口座にひもづく全ての契約を別の銀行にスイッチさせてくれるサービスがあったらいい商売になりそうだな、とか思う。