ヤルヴィのブルックナー

Jarvi(パーボの方)のブルックナーを最近聞いている。

ブルックナー:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第7番

ブルックナー:交響曲第9番

ブルックナー:交響曲第9番

一時期ヴァント爺さんの演奏を聞きまくっていた時期があって、それでかなり食傷気味になったようでここ数年は遠ざかっていた。

ヤルヴィのベートーベンを2年前くらいに聞きにいって衝撃を受けたこともあって、ブルックナーにも手を出してみた。ベートーベンでドイツ・カンマーフィルというピリオド楽器の少人数集団と共に切れば血が出るような鮮烈な演奏を披露しているのに比べると、ブルックナーはオケがフランクフルトということもあって演奏そのもののインパクトは薄い。

印象としては、とにかくインテンポという感じ。ブルックナー休止でたっぷりと間合いを置く演奏に慣れていると、意表をつかれる。全般的に軽やかに進んでいくけど、かといってふわふわと流されるわけではなく、カチッと引き締まってもいる。

ロマン派後期かつ宗教的な色彩が濃厚なブルックナーを、自己陶酔の中にひき連り込むことなく描いている。やや物足りない気もするが。

90年代後半の巨匠たちによるブルックナー祭みたいな時代から見ると、随分変わった印象を受ける。本人としてもアンチテーゼというつもりなのかな、と思っていたら、実はヴァントの最後の日本公演を生で聞いて痛く感銘を受けていたらしい。

ヴァント&北ドイツ放送響日本公演の「第9」をナマ体験し「あらゆる音符が生き生きと意味づけされ、エネルギーに満ち溢れた稀有な演奏」と絶賛を惜しまない

交響曲第7番 パーヴォ・ヤルヴィ&フランクフルト放送交響楽団 : ブルックナー (1824-1896) | HMV&BOOKS online - 88697389972

もしかすると同じ会場で同じ演奏を耳にしていたのかもしれないと思うと、親しみがわいてくる。

7番はそもそもライトな曲、9番は枯淡な禅の世界のような曲なので、5番や8番のような金管大爆発系の曲をどう味付けするのか、是非聴いてみたい。