マツダの90周年記念サイト

マツダの90周年記念サイトがすごい。

乗用車生産の歴史50年についての、各モデルの系統図がまとまっている。

http://www.mazda.co.jp/90th/?link_id=ne#/genealogy

ざっと眺めるだけでも圧巻。マツダの苦難と栄光の歴史と思い合わせると、感涙もののドラマだ。


ファミリア、カペラ、ルーチェという3つの幹の流れと、その派生として生まれては消えていった車の数々が可視化されている。ヨーロッパでの評判を作った4代目カペラ。国内販売第1位にも輝いた5代目ファミリア。


80年代の終わりから90年代途中までのチャネル拡大(アンフィニ、ユーノス、オートザム・・・)時代の車種展開の華々しさはトヨタ、日産も顔負けのラインナップ。

「業界3番手以下の企業が、リーダー企業のやり口を模倣すると破滅する。」というセオリー通りに、マツダのバブル期の多チャネル戦略は見事に失敗し、今では経営学の教科書にも失敗例として取り上げられている。

1980年に上から下まで合わせても6、7台だった車種が、1990年には20車種くらいある。モデル毎の開発に数年かかる自動車の世界で、10年間で車種を3倍に増やすという行動をとったわけだから、財務的な面以外でも設計・開発・生産・販売の各現場は限界だったと思う。加えてバブル崩壊による国内市場の縮小が重なって、結局マツダの夢はあえなく潰え、以後フォード主導のリストラに突入していく。

一方で、この時期に登場した車には、時代を先取りした名車も多かった。
小さなボディにV6エンジンを積み込んだランティス、後のアルファロメオがデザインの参考にしたほど美しかったユーノスプレッソ、ユーノス500。どう見ても国内に十分なマーケットが存在しない層への訴求で、今の商品開発会議だとボツになるコンセプトだと思うけど、当時はこういう面白い車がいろいろあった。

90年代後半のつらい時期を経て、2003年以降のZoom-Zoom世代では、アテンザアクセラデミオの3本柱とその派生車に経営資源を絞り込んで、何とかうまいこと生き延びてきた。経営資源が乏しい会社として、「トヨタ、日産ではない何か。」をうまく体現できていると思う。

先月、親会社フォードが株式を売却して、またもや自動車資本の荒波に放り出されそうな勢いではある。が、タイミングを合わせて次世代のエンジン・シャシートランスミッション技術の発表を行っている。株主構成の変更発表と次世代技術の発表を合わせたのは、「マツダがこれからも自力でやっていける」ことのアピールなのだろう。

http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2010/201011/101118a.html

http://www.mazda.co.jp/corporate/publicity/release/2010/201010/101020a.html

ガソリンエンジンでまだまだやれることがある。」というスカイアクティブの考え方や技術はすばらしい。こういう技術選択こそマツダらしさだと思う。

ハイブリッドなしで燃費30km/L、マツダの次世代技術スカイアクティブとは【前編】 - 日経トレンディネット
http://www.carview.co.jp/road_impression/article/mazda_sky/708/

もしかすると、この技術欲しさに中国資本あたりが買収のターゲットにするかもしれないけど、それはそれで仕方がない。自分がまた次にマツダを買うかどうかはわからないけど、ぜひマツダ100周年の記念サイトにもお目にかかりたい。