遅まきながら読み終えた。なぜかサラリーマンの目的って何だ?と思った。

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて

外交とかロシアとかまったく無縁だった。(読み終えた今も基本的には無縁)。実際梅田さんの推薦2005-04-12 - My Life Between Silicon Valley and Japanを呼んだときも「あー、ムネオ事件懐かしいなあ」と思ったくらいだった。

日本のナショナリズムって何なんだ、と最近否応なしに考えさせられることが多かっただけに、この2,3年で日本の立ち位置(政治家のだけど)が変わったんだよ、とかなりストレートにわかりやすく書かれていて参考になった。

ムネオ的平等主義で強調外交から個人主義の排他外交ということか。今の小泉は。

まあ、著者自身がかなり片方に偏った立場だけに、自己弁解的内容も多くてちょっと飽きてくるんだけど、正しいことをやっていてある日突然ルールが変わる、という恐ろしさをとても冷静に客観的に語られて、こちらも背中に冷や汗が出てきた。

それを仕方がないことと受け入れて、その上でどう振舞うか(自分の信念を貫きつつ、同僚や検察などの周囲の関係者の利害との落としどころを探る)を考えたというのはまさに達観の境地で、僕なんかが会社からそういうことをされると憤りで前後不覚になるだろう。

うちの社長が「最後に生き残るのは、最も強いものでも最も賢いものでもなく、最も変化に適応できる者だ」というダーウィンの言葉を使っていた。当時僕は変化に適応できる柔軟さのことを言っているのだと暢気に聞いていたが、今思い出すと恐ろしくなる。

まあ、ペイペイのサラリーマンに東京地検特捜部からお呼びがかかることはないとしても、いきなり懲戒免職とか処罰されるとかいうのはありえる。昨日まで通用したルールが今日から許されなくなることは最近増えていて、そのやり口がえげつなくなってきている気がするし。

彼は自分の処遇(出世するとか、刑を軽くするとか)よりも大事な信念(国益を守るとか、筋を通すとか)を持っていたので、それを貫き通すことで自己の精神を保つことができた。自分の場合はどうか。今の処遇を失っても守り抜きたい信念があるだろうか?

ある日突然「キミ、クビ」と言われても「アア、ソウデスカ」と言って自分を見失わずにすむためには、明日自分は何をして何を考えればよいのだろう??