儲かる銀行をつくる―収益革命は必ず起こせる
- 作者: 山本真司
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2003/08/01
- メディア: 単行本
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読み終わった。思わぬ良本。米銀の90年代の動きが簡潔にまとめてある第1章だけでも読む価値がある。後半に邦銀が今後向かうべき方向性を示していて、その内容が共感できた。今の銀行が追求したい3つの要素(事務の正確性、顧客主義、商品イノベーション)というのが、そもそも相反するベクトルのものだという点。これ真実だと思う。で、そりゃコングロマリッド企業の悩みと同じだぞ、云々と、主張が続く。印象として根底に著者の銀行への愛が詰まった内容だった。銀行員を元気付けたい、元気のない人々からイノベーションは生まれない。というのが根本のメッセージ。
これから邦銀が取り組むべきチャレンジの全体像と、その中でも今まで成功例が少ないマーケティング関連のイノベーションこそが重要だ、という部分に全体の半分くらいの章を裂いていて、そのチャレンジがいかに困難であるかを繰り返し意識付けている。だからこそ、その困難に取り組む主体たる銀行員は元気でなければならず、元気になるためには中期的な将来(例えば10年後)にどういう会社にしたい、という夢を持つべし、ということ。
とはいえ、コンサル本よろしく、じゃあ具体的にどんなアプローチをとればその困難さを減らすことができるんだろ、という部分は微妙にあいまいな記述になっているけど、そこを差し引いても全編を通してメッセージが明確でぶれていない。コンサル本とは斯くあるべしと言う見本のような本だった。ATカーニーの面目躍如。