PCを買い換え続ける時代がいつまで続くのだろうか

最近のPCを調べてみて思ったけど、確かに3年前よりもそれぞれの分野でブレークスルーがおきている。最近のトレンドだと、今までの高性能に加えて、低電力、静音というところだろうか。WindowsVistaの登場で久々に各家庭のPCが性能向上を要求されることにもなる。

だけど、こんな使い方がいつまで続くのだろうか。コンピュータをそこら辺の家電と同じように語るのは難しいのかもしれないけど、今の状態というのは、PCが製品として未完成であるように思えてならない。

例えば、テレビやデジカメを買う時に、中のLSIのスペックとか組み込みOSのバージョンなんて気にかける人なんていない。(一部いるかもしれないけど)いわんや、その組み込みOSの新しいバージョンが出るから、家のテレビやデジカメにもインストールしなきゃとか、それには内蔵メモリも交換しなきゃ、とか思ったりしない。というかできない。

なぜPCだけが、こんなに新しいものに追い回されてベンダーのサポートの都合にあわせて定期的なバージョンアップに付き合わされたりするんだろうか。

いつまでも進化し続けられる、と捉えればこんな素晴らしい製品とそれをとりまく市場環境はない、とも思えるんだけど、それは趣味の話で、PCが生活の一部やライフラインとして市民権を持つためには、いつまでもこんなこと続けてられないのでは、という思いも消えない。

なので、ちょっと考えてみたのがComputingパワー自体のASP提供。家庭のPCのアウトソーシングといってもいい。コンピューティング環境をサービスとして提供するASPプロバイダが登場して、各家庭にはインターフェースのみを担当する画面だけが残る。企業の情報システムがベンダーのデータセンターに集約されて、業務システムをサービスとして利用するのと同じようなもの。もちろん、家にあるPCをそのままデータセンターに預けて、遠隔操作するというのではなくて、ASP側のでっかいマシンの仮想区画か何かを割り当ててもらって使う。

各社がしのぎを削っているWebOSの目指すところはそういうところだと思う。家からブラウザだけを開いて、その中で普段のデスクトップと同じようなサービスを利用する。データも演算もインターネットのあちら側なので、こちら側(家)にはブラウザが起動するだけのシンプルな処理能力さえあればいい。きっと液晶ディスプレイの中に納まるだろう。あとは、デジカメとかのデータを転送するためのインターフェースのみ。面倒なバージョンアップもCPUやメモリの増強もASPプロバイダが勝手にやる。マシンの静音化やPCケースのエアフローに各家庭が頭を悩ます必要もない。SLAか何かで稼働時間とかパフォーマンスとか規定すればいい。今の光ファイバの帯域でOSの全画面を転送すると、リモートデスクトップ並に使いづらくなるので、そのへんのあちらとこちらの役割分担は必要だろうけど、WebOSがそのうち解決するだろう。

これはきっと新しい発想ではないと思う。シンクライアント構想ってのは、随分大昔から出ては消えているようだし、最近ではディスクだけデータセンターに集中保管するとかいう仕組みも日立かどっかがやっていたと思う。

だけど、Webを取り巻くイノベーションがこれだけガツガツ起こっているし、帯域の単価も低位安定していることを考えると、そろそろどっか始めてくれてもいい気がする。一番の候補は、すでにユーザー接点を持っていて、データセンターも持つ既存のネットワークプロバイダだろうか。ビジネスモデル的には昔電電公社がやっていた演算代行サービスに近いと思うので、NTTが最有力とみるけど、あの会社にはそれだけの機動力はないか。