三井グラウンド跡地

浜田山の駅に向かう途中、噂の三井グラウンド跡地の前を通った。柏の宮公園の隣に位置する三井グラウンドの跡地(三井財閥の保養施設としてグラウンドやプールや緑地があったところ)は、今地ならしの工事中で周りを策で囲まれている。ここに700戸のマンション群ができるということらしい。

生命保険は相続税対策になります - 生命保険をうまく利用して相続税対策を

で、それに対して反対運動がおきている。

http://defense.cocolog-nifty.com/dgw/

噂には聞いていたけど、ここが現場か。反対運動がかなり熱心で、今裁判で係争中らしい。が、工事は構わず進められている感じで、これから2年かけてまずは5棟のマンションを、その後にも追加で何棟か立てるつもりらしい。

反対運動のHPを見てみると、近所に住む元三井物産の人が原告だったりするので、単なる環境は守るべし、という声高な訴えに終始する団体でもないように思える。杉並の神田川沿いは緑が多くてのびのびした感じだし、特にこの「三井の森」は鬱蒼としていてすごい。そんな風景を大事にしてもらいたいと言う気持ちはわかる。なので、どんな展開になるのか気になりはする。

ただ、やっぱり違和感を感じる。僕は永福町に引っ越してきてまだ2年くらいしか経たないし、この地域の今までのやり方とか過去の経緯とかよくわからんけど、そもそも論として、私有地(三井の)の使い方について、周りから口を挟める余地は小さいように思う。会社がその土地を使って儲けを出そうと考えているところに、「今までどおり公園のままで」というのは、ちょっと話が通じないだろう。

三井としては、土地を公園のままで持ち続ければ、社会的な使命は果たせるかもしれないけど、、「広大な土地」という資産がバランスシートにきっちりと毎年載り続けるわけで、財務的に見ると何の利益も生まない「不良資産」としての評価しかされない。それでも企業全体が儲かっているので問題にならない、という古きよき時代もあったのだろうけど、さすがにこの10年くらいでそんなやさしさは失われてしまっている。浜田山の住民の利益には応えられたとしても、全国に散らばる株主の期待には背いているじゃないか、そんな資産は売却して株主に還元せよ、と指摘されてしまう。これは三井に限らず、どんな会社の保養施設でも同じだろう。が、このグランドがあまりに大きいことと70年も存在し続けたことがこの問題を大きくしているんだと思う。

三井から見るとあまりに大きいので、不良資産として眠らせておくにはもったいない。地域から見るとあまりに大きい上に戦前からずっとそこにあり続けているため、すでに地域になくてはならない存在になってしまっている。

私企業が保有する限り、今の公園のまま残す道はありえないと思う。広域避難場所としての機能をどうしても譲れないのであれば、どっかの富豪のボランティア基金にお願いして三井が納得する金額で買い上げてしまうしかないように思う。数百億の規模だろうか。そんな手段がとれない以上、三井の利益を確保しつつ、こちらの譲れない線をどこまで飲んでもらえるかという交渉の世界になるんだろう。

裁判でどういう展開になるかわからないけど、お互いどこかで落としどころを見つけるしかないんだろう。あまり長引くとお互いにいいことはない。個人的には、相手が三井であるだけまだましなように思う。三井のHPにも既存の樹木を生かした街を作るといっているし、三井と言う大看板の手前、あまりにひどい対応はできないだろうから。あと、この共存を成功させれば三井不動産のプレゼンスは上がるわけで、彼らとしても何とか共存共栄できる解決策を探ってくると思うから。

三井がそこに人を住まわせて儲けを出すのは仕方ない。彼らの土地なんだから。が、今ある森や生態系や水脈や静寂や街の雰囲気を生かした街づくりをすれば、それを求める人々がより多くの金を払ってでもそこに住みたいと思うかもしれない。もしくは住宅街再開発と緑地確保という相反する目的を同時に達成するという、これから増えそうな案件のノウハウを蓄積できるわけで、それを地方再開発向けに外販できるかもしれない。何もしないよりも互いにメリットが大きくなるところを見つけ出して、双方が共通の言語で議論できると、そんなにもめないで住むように思うけど。現実はそんなに単純じゃないのかな?