交通ICカード

いよいよ3月18日からPASMOがスタートするみたいなので、今使っているパスネットが人生最後に買ったパスネットになるかもしれない。

というかPASMOかわずに今のSUICAを使い続ける気がする。
導入当初からSUICAPASMOが相互利用可能と言うのは、ユーザーにはうれしい限りだけど、それ以上にJR東日本にとって大ハッピーな展開なのかもしれない。PASMO側は発行枚数伸び悩むと思うけど大丈夫なのだろうか?


これで関西・関東共にJR・私鉄で4つの規格が出揃うわけで、鉄道系電子マネー規格打ち止めとなりそう。

で、ちょっと調べてみたら

SUICAプリペイド
ICOCAプリペイド
PASMOプリペイド

PITAPA:ポストペイ

と言う違いがある模様。そうか、PiTaPaだけが違う仕組みだったのね。で、SUICAICOCAがぐんぐんと普及を続けているのに、PiTaPaだけがパッとしない模様らしい。

PiTaPa - Wikipedia

PiTaPa全体 580,000 2007年1月30日現在
約70万人/日(2007年1月30日現在)

58万枚で一日70万トランザクションと言うのはちょっと稼働率高すぎな気もするが・・・。確かに少ない。これってポストペイ型を採用したからなのだろうか?

PiTaPaがポストペイを採用した理由に関しては、下記のあたりに結構な感動秘話が載っていたりする。

ITmedia ビジネスモバイル:PiTaPaはなぜ“ポストペイ方式”なのか――スルッとKANSAIに聞く(前編) (1/3)

ITmedia ビジネスモバイル:優れたサービスは「関西のお客さん」が育てる――スルッとKANSAIに聞く(後編) (1/5)

確かに仕組みとして比較するとプリペイドよりもポストペイの方が魅力的に思える。

  • 残高を気にせず買える(=残高ゼロでも乗れる。というか残高と言う概念がない)
  • チャージの必要がない
  • 料金後払いなので、利用実績に応じた割引とかポイント付与が簡単(実際Pitapaは月の乗り降り回数に応じて割引している)
  • 電車の運賃と買い物の金額をまとめて口座振替で決済(ケイタイ料金と同じ形式)

ってことで、こういう点からすると圧倒的にプリペイドより便利。でも伸びてない。
デメリットとして上げられるのは下記の点だろうか。

  • 最初のカード発行がその場でできない(申し込みと審査が必要。プリペイドならその場で発行)
  • 子供とか奥さんとか働いていない人の申し込みが面倒(世帯主とひもづけたりとか)
  • 後払いだけに、盗難リスクがある(まあ保険ついてるけど)

Pitapaの状況良くわからんのでなんともいえないけど、不振の原因が、利用路線とか場所が少ないとか、JRとの乗り継ぎが面倒とかそういうのが理由でないとすれば、上の二つの申し込みの面倒さが二の足を踏む原因だと思う。

こうしてみると、メリットもデメリットも結局「与信」にまつわることになる。

前払いのわずらわしさから脱却するには、「後でまとめて払いたい」。Pitapaの場合、利用者の変わりにスルッと関西が立替払いしてくれることで、これを実現している。立て替えという与信行為で買い物を便利にする、というのはクレジットカードと同じ考え方。ただ、クレジットカードの場合、利用の都度認証とかやってるけど、Pitapaは小額決済なのでそれがいらない。その分早い。それにクレジットカードは分割払いとかリボ払いとかで金利を取るけど、Pitapaは翌月まとめて口座振替するだけなので、金利なし。良心的である。さらに。SuicaPASMOでは受けられない利用回数に応じた割引(回数券とか定期と同じ)なんかもうけられる。まさに至れり尽くせりの仕組みに思える。

が、与信を行うからには、立て替えたお金をちゃんと払ってもらえる相手かどうか確認する必要がある。なので、カード発行の時に審査が必要がある。でないと立て替えたまま払ってもらえないリスクが高くなるし、実際にそういうことが続くとカードの仕組み自体が維持できなくなる。

なので、極論するとポストペイのデメリットは「審査が必要」という一点につきる。で、今の時点の状況から判断すると、この一点のデメリットが命取りとなって、カード自体がいまいち普及しないように思える。


関西のこの鉄道カードの状況はかなり興味深い。勝負の分かれ目は、「カード発行をその場でできるか」と言う点似合ったと言えるのかもしれない。技術的に素晴らしい規格が勝つとは限らない、というVHS対ベータの規格競争の教訓通りの展開ともいえる。

で、気になる部分のもう一点は、プリペイド型もそれぞれがオートチャージ機能をつけられると言うこと
なので、さっきの分類で言うと

SUICAプリペイド + オートチャージ(クレジット契約必須)
ICOCAプリペイド + オートチャージ(クレジット契約必須)
PASMOプリペイド + オートチャージ(クレジット契約必須)

PITAPA:ポストペイ + クレジットもあり

となる。これすごく面白い。
プリペイドの弱点である、「チャージが面倒」というのを解消するために一定の残高になったら自動的にお金を補填するのがオートチャージだけど、これってまさにクレジットカードの機能を使った与信をやってるということ。なのでオートチャージしたいんだったらクレジット契約が必要よ、ということになる。

両方のメリットをくっつけたようにも見えるけど、結局審査が必要になるので、プリペイドのよさである「カード発行をその場でできる」と言う点を自ら放棄していることになる。

さらにややこしいのは、本来ポストペイで後払いの機能を持っているPitapaにもクレジットカード機能つきというのがあること。オートチャージがいらないはずなのに、なぜにクレジットなのよ、という気がする。この辺もわかりにくくなっている一因のように思えるけど、鉄道会社はそれぞれ提携カードを持っていてICカードの買い物利用はまさに提携カード分野とバッティングするのでいろいろと思惑があるのかな、と。


関西の一歩進んだ状況に対して、満を持して登場するはずのPASMOがどんな展開を見せるんだろう。こちらの場合は、いかにSuicaからシフトさせられるかだろうけど、敵はかなり手ごわそう。

それにしてもこの分野は奥が深そう。実際は上記に加えてお財布ケイタイとか、ICクレジットとかが絡むのでもっとややこしい。でも玉石混交の急成長エリアには間違いない。どんなイノベーションが起こるのか楽しみ。