在宅勤務

松下が在宅勤務本格化を発表してから、にわかに注目が集まっている様子。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070412-00000005-gen-ent

先行きホワイトカラーの在宅勤務は当たり前になりそうだが、「向く人」「向かない人」はいるはずだ。

記事の結論はいまいちだけど、向く人と向かない人はいるだろうなと思う。
自分自身、数年前から在宅勤務OKな扱いになっているけど、今の状態で一日中家で仕事をできるとは思えない。

もちろん、インフラ的には整っている。ブロードバンドもあるし、VPNで会社にもつなげるし、電話会議もチャットもあるし。フェイストゥーフェイスの会話ができないこと意外は、オフィスとなんら変わりない。(資料の大量コピーとかは無理としても)

難しいと思う理由は
1.精神的な未熟さ
2.家族のリズムを崩す

つきつめると1.も2.も同じ話かもしれないけど。

精神的な未熟さ

まず、家にいると「もうちょっと寝ようか」と思う。これは間違いなく思う。あと、周りの誘惑に負けて音楽聴いたり本読んだりゲームしたりすると思う。家では緊張感を持続できなくて「仕事時間」と「プライベート時間」をうまくわけきれない、という精神的未熟さがつきまとう。

記事では「自律型」という言葉を使って

自律型はマニュアルや細かい指示がなくても、自分の判断で行動できます。専門性を持っていて、自分の意見・主張をはっきり伝えられ、人を説得できるコミュニケーション能力も高い。在宅勤務では今まで以上に能力を発揮します。

と展開しているけど、同じ「自律型」でも、「プライベートの時間と仕事の時間の規律を保つ精神力があるか」というとこがポイントのように思う。

そういう意味では、今僕がオフィスに行って仕事をする理由というのは「上司や同僚と同じ空間を共有するため」じゃなくて「プライベートに流れてしまう自分の時間管理の中で仕事時間を確保するため」といえるかもしれない。なので「オフィス」には、上司や同僚がいる必要はない。ということは、必ずしも会社のオフィスじゃなくてもよい。

自分がプライベートとオフィシャルを区別できる空間であればどこでもいいわけで、例えば駅前の喫茶店でも近くの公園でもいいということになる。そうなれば通勤の苦痛を味わいながら都心に通う必要もなくなる。

家族のリズムを崩す

在宅勤務が難しい二つ目の理由は「家族がいること」。我が家には身重の奥さんと1歳半の娘がいる。僕が家にいる限り、このちびっ子は遊んで欲しくてしかたないし、僕も一緒に遊びたくなる。そこを無理に「今から仕事だから」といってドアを閉めたりすると、娘の方は「なんでパパは意地悪するのか」と嫌な思いをするし、こちらはぐずって騒々しくて集中できないし、奥さんは迷惑千万だ。

あと、今の我が家はちびっ子の生活リズムを中心に回っている感があるので、同じ家の中にパパの仕事のリズムが入ってくると、かなり不協和音が生じる。昼ごはんも晩御飯もパパのスケジュールを気にしないといけないし、奥さんとしては「家にいるんだからちょっとは家事手伝ってよ」という気持ちにもなる。

新聞とかで「育児と仕事を両立させるために在宅勤務」とか言ってるけど、それってほんっとに大変なことだと思う。成功例が周知されたりするので、「できる人にはできるのかあ」とか思ったりもするけど、本人が極限まで無理をして実現している面があるのかもしれない。育児を手伝ってくれる人がいるか、仕事の役割を軽くしてもらうかしないと、今のフルタイムの仕事を家でやりつつ、家事と育児をこなすのって不可能に近いと思う。

子供を育て始めて、時々感じるけど、「家事や育児という人間の根本の営み」と「企業に属する社員としての生活」って、根本の部分で相容れないものがあるのかもしれない。「家庭に仕事を持ち込むな」とか、別の文脈で使われることがあったけど、それって正しいかも、と最近思う。

個人オフィス

なので、僕は在宅勤務ってそんなに簡単じゃないし(特に小さい子供がいる家庭では)、利用者が増えるにしたがって無理が生じたり、成果が出なかったりするようにも思う。

僕のような人間が多いとすれば、「家ではちょっと緊張感を維持できないし、家族のリズム崩すし・・・」という需要は結構あるはず。でも会社に行くのは面倒だし、特に行く必要も感じない。

ということで、駅前とかマンションの多い地域とかに「場所貸し」業を展開すると需要ありだと思う。まんが喫茶みたいに時間制か、ルノアールみたいに飲み物代チャージ制で、1.5Mくらいの幅のブースをたくさん作って個人オフィスとして使ってもらう。とか。