最近の言葉事情

娘がもう2歳半になって、さすがにボキャブラリーが増えてきた。
前回から半年経ったので、また備忘録。

ちなみに半年前はこんな感じだった。

成長実感 - cafe@永福

この娘、人やものや動物といった名詞を覚える気がないらしくて困る。何かを見つけると、それを指差して「あっ」「あっ」っといって親の方を見る。「あれを見つけたから、名前を言え」という意味だ。こちらが「あ、黄色いお花ね」とかいうと「うん」とか言って終わり。ただ、こちらが何を答えたかはちゃんと聞き分けていて、関係ない返事とかすると、さらにしつこく「あっ!」と指差して許してくれない。こちらが言っていることは案外理解できているみたい。

今では「ア、キイロ、オハナヨ」と単語を並べられるくらいまでになった(無意味に最後に「ヨ」をつけたがる)。苦手だった名詞スキルもそれなりについてきて、「パパー、オッキ。シンブン。」(父上、おきて新聞をとりにポストまで一緒に行きましょう)といった高度なコンビネーション技が使えるようになっている。頼むからもうちょっと眠らせてほしい。

あと、「パパ、オシゴト。シンカンセン、ノッタヨ。」(この間パパが出張で新幹線に乗ったんだよ)と言う台詞を電車を見るとところ構わずしゃべりまくる。人前で自慢げに話すほどのことじゃない。

何かにチャレンジしていて難しくなると、すぐに「デキナイヨ!!」。このイントネーションがサッカーのアルシンド風で、往時のアデランスのコマーシャルを髣髴とさせる。

弟ばかり抱っこされて寂しい時は、自分からママの方に擦り寄ってひざの上に乗って「コマッタオネエチャンネ」とか「イイカゲンニシナサイ」とか、相手の機先を制する発言をぶちかます

まあ、ボキャブラリーは確実に増えている模様。この頃の子供にとっての半年が、いかに長い期間であるのかがよくわかる。きっとものすごいスピードで細胞分裂を繰り返しているんだろう。

とはいっても、単語の組み合わせがやっとで、日本語の文章として成り立ってはいない。まだ動物に毛がはえたレベルだな、まだまだ・・・とか思っていた。

それが新春のある日、車の中で娘が突然叫び始めたので驚いた。

『わたしは、バナナです!!』

なんと。見事に完成された文章。英語で言えばSVC型ともいうべきシンプルで強力な文型に、パパもママも顔を見合わせて驚いた。その後も娘は「わたしは、バナナです!!」「わたしは・・・バナナです!!」ととりつかれたように繰り返し、そしてゲラゲラ笑い続けていた。

娘が何の啓示を受けて、何を考えたのか、未だにまったくわからんが、なんか「ここに人間誕生」と言う瞬間を見た気がした。動物界と人間界の間でふらふらしていたのが、ついに人間の世界にガシッと足を踏み入れたような。ルビコンを渡ったのだろう。

業の深い人間の世界へようこそ。


ちなみに「わたしはバナナです」発言の真意には諸説あっていまだ謎に包まれている。

  • 仮説1:前日に「イチゴとバナナどっちが好き?」と聞いた質問に対する答えではないか。(関係者の間では最有力)
  • 仮説2:何らかの将来を暗示する謎かけではないか。例えば「欧米に魂を売った日本人」を指して「バナナ野郎」と罵倒する事から考えると、『私は将来日本を敵に回してひと暴れします』と言う決意表明とも読み取れる。
  • 仮説3:ただのいい間違い。「わたしは」と言う一人称を使ったのはこの時が初めてで、その後も現在まで一度も使われていないことから、別のことを言おうとしてたまたま文章になってしまっただけではないか。

まあ仮説3なんでしょうけど。